artscapeレビュー
山口晃 展──付り澱エンナーレ老若男女ご覧あれ
2013年05月15日号
会期:2013/04/20~2013/05/19
そごう美術館[神奈川県]
ヴァーチュオーゾ山愚痴屋の横浜初の個展。これまでの仕事のアンソロジーのほか、「ひとり国際展」として「山愚痴屋澱エンナーレ」も開催。どんなもんかというと、これがアイディア一発勝負の即効アート。たとえば《銃声》という映像は、バババッという音が聞こえてくるので見に行くと、壊れかけた街灯が音を立てながら点滅してるだけだったり、《オーロラ》は東京の夜空に出現したオーロラの映像かと思ったら、窓ガラスに息を吐きかけた曇りだったり、《一本の赤い線》という絵画は、巨大なキャンバスにバーネット・ニューマンのごとく赤く塗っただけだったり。これらはおそらく、根をつめて描く細密描写のストレス発散としての役割もはたしているんじゃないだろうか。あと目に止まったのが五木寛之の小説の挿絵で、とくに「五、六人」と題する挿絵はなんと5.5人の顔が描かれているのだ(ひとつの顔だけ目が3つある!)。発想もすごいが、それをなにげに絵で表わしてしまう画力がすごい。
2013/04/19(金)(村田真)