artscapeレビュー
フランシス・アリス展(第一期:メキシコ編)
2013年05月15日号
会期:2013/04/06~2013/06/09
東京都現代美術館[東京都]
アリスちゃん、ぜんぜん知りませんでした。カワイイ名前だけど、50すぎのベルギー野郎で、ヴェネツィアで建築を学び、兵役でメキシコに飛ばされて気に入り、そのままメキシコシティに住みついたコスモポリタンだ。昨年のドクメンタ13にも参加したそうだけど、サテライトのカブール会場で映像を見せたらしい。最初は建築家として活動していたが、30歳ごろからアーティストとして作品を発表。記者会見で本人が語ったところによれば、メキシコシティは飽和状態を超えた大都市だが、この都市に直接的な関わりをもちたかったので建築よりアートを選んだのだという。どんなことやってるかといえば、路上で巨大な氷の固まりを溶けるまで押していったり、拳銃を手に繁華街をさまよい歩いたりする映像だ。これって、美大生ならだれもがやった(またはやろうとした)おバカなストリートパフォーマンスと変わりないじゃん。いったいどこが違うのかというと、彼がおふざけでも冷やかしでもなく、最初からアートワールドを目指して戦略的にやってること。そのためにメキシコの歴史や社会問題を読み解き、アート表現として構築していることだ。つまりプロの仕事ってことですかね。いやーほんと、アートってわけがわかりませんな。
2013/04/05(金)(村田真)