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型絵染 三代澤本寿 展「民藝とともに──暮らしによりそう色と形」

2013年05月15日号

会期:2013/01/24~2013/04/02

神戸ファッション美術館[兵庫県]

長野県松本市生まれの染織工芸家・三代澤本寿(1909-2002)。型絵染の人間国宝として知られる芹沢銈介との出会いにより型絵染の道を志し、民藝思想にふれて柳宗悦とも親交を深め、松本の民藝運動を牽引した人でもあるのだが、3年前に松本市美術館でその展覧会が開催されるまでは地元でも知る人ぞ知る存在だったという。関西では初めてまとまった数の三代澤の仕事が紹介される機会となった今展には、屏風やパネル、帯地や着物といった、初期から晩年までの作品と、取材を兼ねた海外旅行で三代澤が収集した染織品などが展示された。作品のモチーフは、日本の伝統的な文様や抽象パターン、動植物、風物などをモチーフにした可愛らしいものまでさまざま。そのなかでもキリスト教の成句(文字)を文様的に配した《モサラベ》というシリーズや、《カンタータ》《パラードA》など音楽をタイトルにした抽象的なイメージの作品群はとくに魅力的だった。ダイナミックでリズミカルな画面の構図、絵柄、色彩など、それらどれもがこの作家独自のセンスと技術力を感じさせる。クラシック音楽にも造詣が深く、歴史好きで、頻繁に出かけた旅行では旅先の歴史的背景を調べるのも楽しみだったという三代澤。表現力豊かな作品から彼の体感したものを追体験するような心地よい興奮を覚え、これまで三代澤についてあまり知識がなかった私もすっかりファンになってしまった。

2013/04/02(火)(酒井千穂)

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