artscapeレビュー
瀬戸内国際芸術祭2013 春(小豆島)
2013年05月15日号
会期:2013/03/20~2013/04/21
小豆島[香川県]
瀬戸内国際芸術祭2013春が期開中の小豆島へ足を運んだ。姫路港から福田港まではフェリーで1時間40分。この日は早朝に地震があり、出発の時間がずいぶん遅れてしまったのだが、福田港に到着後、インフォメーションコーナーで夜でも展示を見ることができるものもあると聞き、三都半島や坂手港エリアなどを巡った。途中、滞在制作中のアーティスト、小山真 さんを訪ねて元・小学校の教室の制作の現場を見せてもらう。「土産」と記されたカゴつき自転車に、扉と引き出しをつけた大きなケース、バックミラーやカメラを装着したサイドカー。蟹や漁網のデコレーションもユニークなこの乗り物で、香川県内の各地を巡り、そのときどきで出会った素材で「土産」を制作していくという。作品は旅の記録映像とともに「夏期」開催時に発表される。黒板に制作と旅のスケジュールがびっしりと細かく書かれていたのも印象的で公開が楽しみなプロジェクトだった。ヤノベケンジの《THE STAR ANGER》が設置されている坂手港灯台跡地を訪れたのは、日も暮れて暗くなったころ。巨大なミラーボールに乗った赤い目のドラゴンの迫力とキラキラと周囲に光が散らばるその眺めは壮観で、夜に見ることができてラッキーだと思った作品。隣接する坂手港待合所には、島に伝わる逸話をモチーフにした全長35メートルの巨大壁画《小豆島縁起絵巻》もあったが、この物語の詳細はわらなかったので少し残念。ほかには、中山地区の谷間に設置されている台湾のアーティスト、ワン・ウェンチー(王文志)の竹を組んだ巨大なドーム《小豆島の光》も見に行った。LED照明で、赤、紫、青、黄色と色が変化していくそのライトアップの様子がなにより強烈。暗闇で周囲の森を照らし出すそのイルミネーションの光景は異様で私自身は気持ち悪かったが、美しいと思う人もいるだろうか。どちらにしろ昼間なら内部に入って鑑賞できるので昼と夜の両方見たい作品だった。
2013/04/13(土)(酒井千穂)