artscapeレビュー
栗田咲子「おもいだし-わらい」
2013年05月15日号
会期:2013/03/20~2013/04/13
FUKUGAN GALLERY[大阪府]
郷愁を誘うノスタルジックな光景を描いた作品が並んでいた。こちらの記憶をくすぐるように刺激して、個人的な思い出のエピソードをも喚起する。作家の体験した時間と自分の過去が少しずつ重なっていくような、「昭和」の懐かしいくすんだ雰囲気が全体にのどかな印象で心地よく、展覧会タイトルのとおりに、私も会場でにやりと思い出し笑いをしてしまった。潮の匂いや古い家屋に染み付いた匂いなど、嗅覚の記憶をいちいち刺激するからいっそう濃い味わいに感じられる。画風も少し変わったように思った個展。次回も気になる。
2013/04/12(金)(酒井千穂)