artscapeレビュー
あなたの肖像──工藤哲巳 回顧展
2013年12月15日号
会期:2013/11/02~2014/01/19
国立国際美術館[大阪府]
国立国際美術館の工藤哲巳回顧展「あなたの肖像」を鑑賞した。これまで断片的に青森や国立国際などで何度も彼の作品を見たが、初期のアンフォルメル風から、アンデパンダンの「反芸術」、西欧でのヒューマニズム攻撃、70年代の内省化、そして晩年の日本社会を問う作品まで一同に集まると、力強く、壮観である。これだけ大量の男根が陳列される展覧会もそうないだろう。一時のネタではなく、生涯こだわったモチーフであることがよくわかる。筆者がイメージする日本のどろどろとした情念的な前衛芸術家そのものだ(女性なら草間)。今回の展示で、千葉県房総の鋸山の岩壁に高さ25m近い巨大な男根/サナギのレリーフも制作したことを初めて知った。もうひとつ驚いたのが、カタログの分厚さである。640ページくらいか。展示作品だけではなく、巻末にレゾネとなる「工藤哲巳総目録1955-1988」も付しているからだ。なお、常設では、彼に関心をもったマイク・ケリーとマッカーシーの作品も紹介している。
2013/11/10(日)(五十嵐太郎)