artscapeレビュー
カタログ&ブックス│2015年05月
2015年05月15日号
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
MEDIA/ART KITCHEN - Reality Distortion Field - AOMORI ユーモアと遊びの政治学
2013年から2014年にかけて、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコクで実施された「MEDIA/KITCHEN」展から発展して、2014年7月26日〜9月15日に国際芸術センター青森で開催された展覧会の記録集。参加作家は萩原健一、バニ・ハイカル、堀尾貫太、クワクボリョウタ、毛利悠子、ナルパティ・ワンガa.k.a.オムレオ、レオン・アルティス、プリラ・タニア、チャラヤーンノン・シリポン、ファイルズ・スライマン、竹内公太、田村友一郎。個々の作家が持っているメディア環境と現代社会の関係への意識、また日常生活に根ざし、ユーモアを持った創造力が示されている。
青森市所蔵作品展 歴史の構築は無名のものたちの記憶に捧げられる
2015年2月7日〜3月15日に青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)で開催された同名展の記録集。青森市が所蔵する約15,000点に及ぶ生活用品や民具などを一般に広く公開する目的で、2007年から年に一回展覧会が開催されている。3年前からは、学芸員による企画展ではなく、ACACに滞在するアーティストの視点から、新しく地域の資源を読み直す展覧会がつくられている。今回は映画監督/美術家の藤井光による、明治から昭和の高度経済成長期にかけての東北で、日本という国が形成されてきたさまを収蔵品からあぶり出し、アーカイブ・博物館の本質をも再考する展覧会が開催された。
山口小夜子──未来を着る人
2015年4月11日〜6月28日、東京都現代美術館で開催している同名展のカタログ。70〜80年代のトップモデル時代、資生堂の専属モデル時代の写真のほか、さまざまなジャンルのクリエイターとコラボレートした記録が掲載されている。また、彼女と協働し、影響を与え合った多彩な顔ぶれによる山口小夜子論が展開されている。
他人の時間|TIME OF OTHERS
崔敬華、橋本梓、ミッシェル・ホー、ルーベン・キーハンの4人のキュレーターの企画展「他人の時間」のカタログ。アジア・オセアニア地域の現代作家18名の作品をとおして、理解できない隔たりを持った「他人」とのつながり、その分断とは何かを問い直す企画展。出品作家は、キリ・ダレナ、グレアム・フレッチャー、サレ・フセイン、ホー・ツーニェン、イム・ミヌク、ジョナサン・ジョーンズ、河原温、アン・ミー・レー、バスィール・マハムード、mamoru、ミヤギフトシ、プラッチャヤ・ピントーン、ブルース・クェック、下道基行、ナティー・ウタリット、ヴァンディー・ラッタナ、ヴォー・アン・カーン、ヤン・ヴォーなど。2015年4月11日〜6月28日、東京都現代美術館で、7月25日〜9月23日、国立国際美術館で開催。
シンプルなかたち:美はどこからくるのか
パリ・ポンピドゥーセンター・メスとの共同企画の展覧会の公式カタログ。「シンプルなかたち」として、古今東西の名品から選りすぐった130点に日本独自の展示物60点が加えられている。
2015/05/12(火)(artscape編集部)