artscapeレビュー
ペーパー・ドローイング
2015年05月15日号
会期:2015/04/06~2015/04/18
開発好明の企画した5人展。画面にびっしりイクラが、と思ったらマッチ棒の頭を並べて描いた寺井絢香、マンガの記号表現を半立体化したような棚木愛子、アウトサイダー少女画みたいなやとうはるか、国会議事堂前に日の丸の落とし穴を掘ったような錯視画の吉野もも。以上4人とも多摩美を卒業した20代の女性作家だ。開発は昨年の香港の抗議活動に触発され、脈絡のない付箋紙のメモを仮設壁にびっしり貼ったインスタレーションを展示している。小部屋では壁を紙で覆い、5人でドローイングを描いてるのだが、脇に大中小の枠があって好きな部分を切り売りしてるんだと。これは、絵というものが作者の決めた枠内(画面内)で完結する世界だという考え方を覆す試みであり、また、号いくらと作品価格を決めているアートマーケットのパロディと見ることもできる。
2015/04/17(金)(村田真)