artscapeレビュー
小川千甕──縦横無尽に生きる
2015年05月15日号
会期:2015/03/07~2015/05/10
泉屋博古館分館[東京都]
六本木一丁目の駅に着いたとき、そういえばよく知らないけどおもしろいかもしれない画家の展覧会をやってたなと思い出し、寄ってみる。小川千甕は明治から昭和にかけて活躍した画家で、少年時代は仏画を描き、20歳から浅井忠に洋画を学び、明治末には漫画家として知られ、渡欧してルノワールに会い、帰国後は日本画家として本格デビュー、晩年は文人画にも手を染めたという。こうした遍歴だけでも興味が湧くが、それが結晶するのは晩年の文人画だ。西洋画とも日本画ともいえないマンガチックで大胆な空間構成は、まさにタイトルのごとく縦横無尽。ちなみに名前は「せんよう」と読むが、近眼だったため「ちかめ」の名でも親しまれたらしい。まだまだ知られざる画家はいるもんだ。
2015/04/24(金)(村田真)
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