artscapeレビュー

戦後のボーダレス 前衛陶芸の貌

2016年01月15日号

会期:2015/11/28~2016/02/07

芦屋市立美術博物館[兵庫県]

戦後の京都で誕生し、「オブジェ陶」と呼ばれた前衛陶芸。四耕会や走泥社などに代表されるそれらの動きを、八木一夫、辻晉堂、宇野三吾、山田光、鈴木治、林康夫といった代表的な作家を通して紹介するのが本展だ。ここまで読むと過去に幾度もあった同系の企画展と変わらないが、本展がユニークなのは、彼らと同時代に活躍した美術家の絵画・彫刻が共に紹介されていることである。絵画は、吉原治良をはじめとする具体美術協会の作家や、須田剋太、須田国太郎など、彫刻は堀内正和と植木茂が前衛陶芸と一緒に並んでいるのだ。これにより、単一ジャンルだけの展示では伝わらない時代の熱気や、ジャンル間の影響関係が具体的に伝わり、たいそう面白い展覧会に仕上がっていた。欲を言えば、同時代のもっと多くのジャンルをカバーしてほしかったが、そこまでやると肝心の陶芸が薄れてしまうかも。決して大規模ではないが、秀逸な企画展として評価したい。

2015/11/27(金)(小吹隆文)

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