artscapeレビュー

2017年03月15日号のレビュー/プレビュー

Noism1「マッチ売りの話」+「passacaglia」

会期:2017/02/09~2017/02/12

彩の国さいたま芸術劇場[埼玉県]

第1部は童話と別役実の不条理劇を組み合わせたもので、仮面のダンサーが美しくも恐ろしいイメージを出現させる。そして第2部は、17世紀の楽曲とその現代的変換音が切り替わりながら、男女が踊る。決して明快ではない、両者の錯綜した響き合いが印象に残った。

2017/02/10(金)(五十嵐太郎)

平田晃久建築展

会期:2017/02/07~2017/03/05

太田市美術館・図書館[群馬県]

平田晃久が設計した太田市美術館・図書館を見学する。美術、建築、絵本など、ビジュアル系本が充実した図書館+都心回帰の美術館+おしゃれなカフェという最強コンテンツが空間的に融合しつつ、駅前に出現した。彼らしい複雑な立体構成をもち、図面では理解しにくいが、実際にぐるぐる歩いて体感することで身体化される。太田市美術館では、平田晃久展を開催中だった。2つのキューブには、それぞれ模型群と映像・細部検討を展示し、スロープに沿った大きな壁面を使い、ワークショップを経て、いかに建築が変化したかを紹介する。なお、図書館はまだ整理中で4月にオープンとのこと。開館後、実際に人の動線がどのように絡まりあうかを見たい。

2017/02/10(金)(五十嵐太郎)

第1回CIATシンポジウム

小石川テラス[東京都]

第1回CIATシンポジウム「東北大発・建築論~東北大で建築を学び、考え、仕事にすること」@小石川テラスを開催した。建築学会作品選集の新人賞を受賞した髙橋一平、滑田崇志・滑田光がパネリストとして登壇し、それぞれ受賞作の《CASA O》、《はりゅうの箱》を軸に講演を行ない、コメンテーターは編集者の橋本純、小野田泰明がつとめた。東北大の建築とは何かを考えるイベントとなり、早稲田大や横浜国大など、他大の状況とも比較しつつ、髙橋が問題提起した建築関係者が共有できる「建築語」のキーワードをめぐって盛り上がった。

2017/02/12(日)(五十嵐太郎)

Unknown Sculpture series No.7 ♯3 大西伸明「かけがえのないかけかえ」

会期:2017/01/29~2017/02/13

ギャラリー21yo-j[東京都]

たわんだブルーシート、天井から吊り下がった錘、錆びついた鉄のポールなど、つまらないものが2点ずつ並んでいる。ん? 2点ずつ? しかも2点ともシワもサビもキズもまったく同じ。もちろんホンモノ(オリジナル)が2つあるわけないし、ホンモノとニセモノ(コピー)でもない。どちらもニセモノ、というと聞こえが悪いので、ホンモノから型どりしてFRPで固め、着色したレプリカなのだ。2点ずつあるのはおそらく、1点だけだと「つまらないホンモノ」があるだけだと思われて、スルーされてしまうからだろう。でもシワやキズまでまったく同じブルーシートが2点もあれば「おや?」となるはず。これはやはり版画出身のアーティストならではの発想かもしれない。それにしても見事な仕上げ。

2017/02/13(月)(村田真)

第4回ワークショップ「6年目のふるさとを考える」─原発型避難集落への改修による復帰─

朝日座[福島県]

南相馬で第4回ワークショップ「6年目のふるさとを考える─原発型避難集落への改修による復帰─」を開催。登録有形文化財の朝日座にて、リノベーション・改修をテーマに新堀学・豊田善幸・嶋影健一の講演・座談会を行なう。新堀学は、リノベーション手法の概論と被災地の事例を紹介した。豊田善幸は、震災後、解体の危機にあった古民家を自費で購入し、まちの人を巻き込みながら改修し、すでに存在する地域の資産を見直していく、いわき市でのユニークな活動を報告した。そして嶋影健一からは小高区の公会堂リノベーション案を発表した。座談会では、311後の福島における建築の状況を踏まえて、風景の断絶と連続、リノベーションの可能性などを討議する。最後に、東北大五十嵐研の塔と壁画のある集会所の建設プロセスやWSの成果をまとめた映像作品『風景の断絶に抗う』(学生の木下順平が監督)を大スクリーンで上映する。

2017/02/13(月)(五十嵐太郎)

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