2019年12月01日号
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artscapeレビュー

店頭デザイン大解剖展:つい買いたくなるお店の「しかけ」とは?

2011年05月01日号

会期:2011/02/01~2011/05/08

印刷博物館P&Pギャラリー[東京都]

スーパーマーケットやコンビニエンスストアで私たちが手にとる商品の魅力は、そのモノ自体のデザインばかりではなく、店頭での展示方法にも大きく影響される。メーカーの販売担当者も、店舗の責任者も、いかに商品を目立たせ、差別化し、どのようにすれば迷う消費者の背中を一押しできるか、日々しのぎを削っている。「店頭デザイン大解剖展」は、そのような商品の魅せかたを紹介する展覧会である。
展示は店頭デザインの事例と、デザインプロセス紹介のふたつのパートで構成されている。前者には、「つい見る」「つい気になる」「つい選ぶ」「つい納得する」「つい好きになる」という「店頭行動5つのキーワード」によって解説が付されている。例えば、会場に入った正面には、カップヌードルを円錐状に積み上げたクリスマスツリー。その存在感に圧倒される。壁際の展示台に近づくと流れ出すメロディ。えっと思って足を止める。書籍やCDに付けられた解説文。手書きのPOPは専門家の批評と比べても説得力がある。ユニクロの「秩序」と、ヴィレッジヴァンガードの「計画された無秩序」の対比も興味深い。また、新しい機能を持つ商品、使ってみなければ効果がわからない製品ほど、展示の工夫によって説得力が増すことがよくわかる。独自性のある、あるいは物語性のあるパッケージは、その製品をお気に入りにしてもらうための重要な鍵だ。もうひとつのパートでは、プレミアムモルツの展示台を事例に、消費者行動の「分析」「提案」「検証」のプロセスを解説している。私たちの購買行動がどのように分析され、誘導されているのか、デザインや販売に携わる者ばかりでなく、消費者も知っておくと良いと思う。購入する商品の選択に自分の主体性などほとんど働いていないのだ。[新川徳彦]

2011/03/19(土)(SYNK)

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