artscapeレビュー
小谷真輔「無重力サーキット」
2011年05月01日号
会期:2011/04/12~2011/05/07
MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w[京都府]
自身の内面に宿る妄想的世界を描いてきた小谷だが、元々は映像作品でキャリアをスタートさせたのだという。ということは、映像とインスタレーションと絵画をミックスした本展の構成は、彼にとってバック・トゥ・ルーツ的な意味合いがあるのかもしれない。映像は、カラフルな影絵のような作品と、飼い猫を撮った2点。その周囲に映像の世界から抜け出してきたようなインスタレーションが施され、壁面には絵画が展示されている。室内の照明は落とされており、絵画は備え付けのペンライトを使って見ることになる。また、ペンライトでインスタレーションを照らすと映像作品と相似のシチュエーションを再現することもできる。ある意味、本展は、彼の絵画世界を3次元に拡張したものと言える。身体ごと作家の脳内にダイブしたような気分になれる、ユニークな個展だった。
2011/04/12(火)(小吹隆文)