artscapeレビュー

ソーシャルダイブ 探検する想像

2011年05月01日号

会期:2011/03/18~2011/04/11

3331 Arts Chiyoda[東京都]

あえて言うが、昨今の若いアーティストにとって、自らの作品に社会性を帯びさせることが、ある種の強迫観念となっているのではないだろうか。それが、不幸にも、結果として作品の魅力を著しく損なっているように思われる。本展で発表された作品の多くも、そうした論理に巻き込まれているように見えてならなかった。プロジェクトの成果を披露するのはよい。しかし、その行為なり運動なりを展覧会という場で発表する以上、必要なのは、その装置をインスタレーションとして見せることや、その過程を要約した映像をダラダラと見せることなどではなく、それらを凝縮した「作品」を見る者に突きつけることである。なぜなら、彼らが勝負しなければならないのは、そのプロジェクトの体験を共有していない、見ず知らずの鑑賞者だからだ。この当たり前の事実をないがしろにしてしまうところに、「社会性」という免罪符を手に入れさえすればよいと考えるアーティストの大きな甘えがある。「プロジェクト」と「作品」をそれぞれ自立的に分けて考えてこそ、ほんとうの意味で「社会的」になりうるはずだ。

2011/03/27(日)(福住廉)

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