2021年12月01日号
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artscapeレビュー

宮永愛子 なかそら─空中空─

2012年11月01日号

会期:2012/10/13~2012/12/24

国立国際美術館[大阪府]

ナフタリンを素材にした、時と共に形状が移ろう作品で知られる宮永愛子が、大規模な個展を大阪で行なっている。大きく4セクションに分かれた会場には、6点の作品が配置されている。導入部では、全長約18メートルのケースにさまざまな日常用具からかたどったナフタリンのオブジェが並び、その隣には天井まで伸びた糸のはしごがある(はしごには時間の経過と共にナフタリンが付着する)。次の部屋には樹脂の立方体に閉じ込められたナフタリンの椅子のオブジェがあり、さらに進むと沢山の柱が並ぶ空間(柱は本物とフェイクが混在している)にはしごとナフタリンの蝶のオブジェを配した広大な暗室が。その暗がりを通り抜けると薄明るい広間に出て、そこには金木犀の葉脈を素材にした全長約33メートルの布地のような大作と、20リットルの海水などを素材にしたもう1点の作品がたたずんでいた。特定のストーリーが示されているわけではないが、観客は会場をめぐるうちに一編の物語を読んでいるかのような感興に浸される。完成度の高い作品と、細部まで緻密に計算された空間による、見事な個展であった。

2012/10/13(土)(小吹隆文)

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