2021年12月01日号
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artscapeレビュー

加瀬才子

2012年11月01日号

会期:2012/09/29~2012/10/21

platform02[大分県]

「BEPPU ART AWARD 2012」でグランプリを受賞した加瀬才子の個展。生死をテーマにした《Life-time Project》を発表した。
これは、毎年末にみずからの頭髪を剃り落とし、それらを身体の一部に貼り付けて写真に撮影することを繰り返し、最終的にはアーティスト自身の死後、彼女の遺骨を加えて催される展覧会によって完結するという壮大なプロジェクト。今回の個展では、これまでに撮影してきた写真や、このプロジェクトをはじめる契約を親族や弁護士をまじえて結ぶ様子を映した映像などが展示された。
生死をテーマとする作品は少なくないが、これほど長大なスケールで表現しようとした作品は珍しい。「ライフワーク」にはちがいないが、厳密に言えば、この言葉ではとてもとらえきれないほどの絶対的な時間性を実感させるところに、このプロジェクトの核心があるのではないか。
「わたし」のなかに流れつつも、「わたし」を超えて流れていく時間。それを宇宙や自然といった外部に仮託して表現するのではなく、あくまでも「わたし」に拘泥しながら表現すること。とりわけ原発事故以後、私たちは人類の歴史を100年、いや万年単位で想像することを余儀なくされているが、加瀬のプロジェクトはその果てしない時間感覚を、再度個人に繰り込むことで、人間であることの責任を果たそうとしているように思えてならない。

2012/10/07(日)(福住廉)

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