2021年12月01日号
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artscapeレビュー

秋山正仁 展

2012年11月01日号

会期:2012/10/01~2012/10/06

Gallery K[東京都]

会場に広がっていたのは、3つの壁面にまたがる長大な絵画。絵巻物のように右側から左側に向かって時間軸が貫かれ、それに沿って山河や建物、戦車、戦闘機などが精緻に描かれている。
驚くべきなのは、それらをすべて色鉛筆だけで描写していること。そこに費やされた膨大な時間にめまいを覚えるが、色鉛筆の目覚しい色彩にたちまち覚醒させられる。しかも、すべての図像にはそれぞれアラベスク模様のような細かい文様が重ねられているため、図像と模様がわずかに反発しあい、不思議な視覚効果を生んでいるのである。図像を把握することが著しく難しいわけではないにせよ、模様の外形を眼で追っていってはじめて図像が浮かび上がることがある。つまり、見れば見るほど、何かしら発見が期待できるのだ。
秋山の色鉛筆画は、平面性を追究してきたモダニズム絵画が禁欲的に封じてきた、絵を見る愉しみを素直に提供している。そこに、ゼロ年代以後の現代絵画の大きな特徴をはっきりと見出すことかできる。

2012/10/05(金)(福住廉)

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