artscapeレビュー
横尾忠則 葬館@豊島へ
2012年11月01日号
会期:2012/09/07~2012/10/08
SCAI THE BATHHOUSE[東京都]
アーティストにとって「老い」とは何なのだろうか。横尾忠則の同ギャラリーでの4年ぶりとなる個展を見て、思わず考えてしまった。なぜなら、横尾の新作には、以前にも増して、老いてなおますます盛んな創作意欲が明らかにみなぎっていたからだ。むろんY字路のシリーズに不穏な雰囲気がないわけではない。けれども描写された絵の根底には、それをはるかに凌駕して絵を描く喜びが充溢していた。展示されたすべての絵は、それぞれ巧妙に描き分けられている。ただ、その絵の向こう側には、嬉々として絵筆を振るう横尾の同じ姿がたしかに感じられるのだ。画家としての爛熟、いやいや、むしろ画狂と言うべきなのか。やがてどんな画境に到達するのか、今後がますます楽しみである。
2012/09/29(土)(福住廉)