artscapeレビュー
MIHO GRANDAMA Arte della Luce
2010年04月15日号
会期:2010/03/13~2010/06/06
MIHO MUSEUM[滋賀県]
MIHO MUSEUMの創立者・小山美秀子(1910-2003)の生誕百年を記念するコレクション展。開館以降蒐集された作品も含め、日本美術を中心にした収蔵品90点を展示。展示替えがあるのだが、4月25日まで展示されている狩野芳崖の《悲母観音像》をもとにしたタピストリー《MIHO悲母観音像》は圧巻の見応え。川島織物によって1994年に制作された綴れ錦なのだが、忠実かつ完璧に原画を写し取ったもので、4,500種以上の色が用いられているそうだ。繊細で微妙な光の表現が素晴らしい。また、2009年に開催された「若冲ワンダーランド」展でも公開されているのだが、4月27日から展示される伊藤若冲の《象と鯨図屏風》も今展の見どころになる作品。奇抜なイメージや各箇所の筆致の表情を見る楽しさもさることながら、象のコロコロした胴体や筆先のようなシッポがなんともくすぐったい可愛らしさでどうにも可笑しい。遠くなければ何度でも見に行きたい。
2010/03/11(日)(酒井千穂)