artscapeレビュー

高岡美岐 展

2010年04月15日号

会期:2010/03/09~2010/03/14

アートスペース虹[京都府]

高岡の制作は、自分が歩く道のりで目にする風景を、携帯電話のカメラで数分か数十秒という短い間隔で撮影するところから始まる。その記録画像を水彩画に一枚ずつ起こし、描き溜め、さらにそれらから選びとった場面を油彩画に構成し直すのだという。初めて聞いたときは驚いたのだが、記録を事実の「イメージ」へと移し替えていくその行程が興味深い。今回の新作に描かれていたのは夜の北新地。手ぶれした画像をもとにした風景の、流星が縦に走るような街の光の描写が奇麗で、そのせわしない雰囲気や夜の街の喧噪のなかを歩く臨場感にもあふれている作品だった。画面の筆致の勢いやスピード感がうかがえるのも見ていて楽しい。次はどんな光景が描かれるのか気になる。

2010/03/14(日)(酒井千穂)

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