2021年10月15日号
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artscapeレビュー

「私たちのアトリエ…女子だけ?!」展

2010年04月15日号

会期:2010/03/23~2010/03/27

南洋堂書店4階 N+ギャラリー[東京都]

5大学7人の3年生建築女子学生によるグループ「建築女子」による展覧会。建築女子は、結成から展覧会まで2カ月足らずであったが、特にツイッターを中心に、さまざまな経緯が効果的に波及し、話題を呼んだ展覧会となった。そもそもツイッターで知り合ったメンバーもいたという。展示内容は、大学での課題をベースにしたもので、それぞれの個性がただよう。個人的に印象的だったのは水彩画を効果的に利用した冨永美保による飯田橋駅の立体的なアプローチ計画と、もっともメルヘンチックで、いわゆる女の子らしさを表現していた加藤悠による、部分的にドレープ化した曲面壁が構成する円形住宅であった(字数があればもちろんほかの作品についても触れた)。とはいえ、必要以上に内容を過大評価するわけではない。話題先行のところもあった。筆者は事前に彼女たちに、建築系ラジオとしてインタビューをしていた段階で、既存の「女子」のイメージに対して、異なる何かを提示するような「意図」があるのかと思っていた。しかし蓋を開けてみると、積極的にグループとして提示された展覧会意図は、なかったように感じられた。にもかかわらず、この展覧会には意図的にはできない何かがあったように思われたところが、この展覧会の成功の一因ではないかと思う。まず、本人たちが会場にずっといて、一人ひとりに根気よくプレゼンテーションしていた。このアピール力は相当のものだ。そして、好きな本や音楽など、作品以外のものを同列に展示していたこと。建築を学ぶ学生の環境そのものが展示されていた。そして、ネーミング。「建築女子」は、ほとんど一般名詞に近い。展示と同じで一見「意図」が欠けているように思われる名称である。そうであるがゆえに、見る側はそれぞれの「建築女子」のイメージをつくりやすいし、ほかの建築女子学生にとっては、メンバーの作品がたまたま自分たちをリプレぜントする存在であったかのように思いやすかったのかもしれない(実際、私こそが「建築女子」という人からの反応を何人も受けた)。話題にはなった。うまく批評のされやすい立場を獲得した。だからこそ、次回は、さらなる意図を込めた彼女たちの企画も見てみたい。

URL=http://event.telescoweb.com/node/11161
建築系ラジオ=http://tenplusone.inax.co.jp/radio/2010/03/joshi1.php

2010/03/27(土)(松田達)

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