2021年12月01日号
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artscapeレビュー

神山成美「TOO EAT」

2010年04月15日号

会期:2010/03/15~2010/03/23

MUSEE F[東京都]

先に紹介した瀬戸口大樹と東京ビジュアルアーツの卒業制作の最優秀作品を争ったのが神山成美。点数的に拮抗していたので、賞に漏れたのが残念だったのだが、たまたま表参道のギャラリー、MUSEE Fの会場に空きが出て、展覧会を開催できることになった。こういうラッキーも実力のうちといえそうだ。
神山の作品は、新潮社から毎月刊行されている写真集「月刊」シリーズへのオマージュである。1998年にスタートした「月刊」は、旬の女優やモデルを気鋭の写真家たちが撮り下ろすシリーズで、これまでも藤代冥砂や蜷川実花などがなかなかいい作品を発表してきた。限りなくヌードに近い状況を設定して、見えそうで見えないエロティシズムを打ち出していくところに特徴があるのだが、神山はその撮影・編集のスタイルを完全に自分のものにして、表紙のロゴやインタビューのページ、さらに広告までもそっくりに似せた写真集を手作りしてきたのだ。興味深いのは、そこに写っている女の子たちが、一般的に男性写真家が女性モデルを撮影する時のように、性的な対象として受動的にポーズをとらされているのではないということだ。撮影は神山とモデルとの積極的な共同作業というべきもので、写真家はエロティックな表情をこちらに向けるモデルにほとんど同化しているように見える。どこか似通った雰囲気を漂わせるモデルたちは、神山の分身といえるのかもしれない。
今回の展示では、スペースの都合もあって2人のモデルの作品しか展示できなかった。もう少しヴァリエーションを増やすと、もっと面白い視覚的効果が期待できたのではないだろうか。

2010/03/15(月)(飯沢耕太郎)

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