2021年10月15日号
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artscapeレビュー

高橋宗正/佐伯慎亮「東西東西」

2010年04月15日号

会期:2010/03/12~2010/03/28

テルメギャラリー[東京都]

松岡一哲と阿部マリイを中心に若い写真家たちによって運営されている都立大学のテルメギャラリー。その「5ケ月連続2人展」の第4弾として開催された高橋宗正と佐伯慎亮の展示に出かけてきた。佐伯は昨年赤々舎から最初の写真集『挨拶』を出し、高橋ももうすぐ同社から写真集が刊行される。佐伯が1979年生まれで、高橋が1980年生まれだから、いま一番力をつけつつある30歳前後の写真家たちの代表格といういい方もできるだろう。展覧会のタイトルは、どうやら大阪在住の佐伯が西日本を、東京在住の高橋が東日本を担当するという意味らしい。
たしかに距離感の違い(佐伯の方が近く、高橋の方が遠い)はあるものの、「パフォーマンスの瞬間の一発芸」を巧みにとらえるという点においては、この2人の写真の傾向には共通性がある。ただ、どちらかといえば佐伯の写真の方に、被写体から発する光と影を鷲掴みにするようなパワーをより強く感じる。展示から気持のいいエネルギーの波動が伝わってくるのは、ギャラリーの空間そのものに力があるのかもしれない。写真家たちの自主運営ギャラリーを長続きさせる秘訣は、いかにそのような開放的なパワーを持続できるかにかかってくるのではないだろうか。

2010/03/12(金)(飯沢耕太郎)

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