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2014年09月15日号のレビュー/プレビュー

美術の中のかたち 手で見る造形 横山裕一展「これがそれだがふれてみよ」

会期:2014/07/19~2014/11/09

兵庫県立美術館[兵庫県]

部屋の四方に、大きく出力された横山のドローイングと、そのコマにちなむ立体物や美術館の所蔵品を使ったインスタレーション。作品を触って鑑賞できる、兵庫県立美術館の名物企画だ。
ブーーンと、腰のあたりに響く複数台の扇風機の音が鳴り響く。壁はびっしりと作品で、余白はない。否応無しに空間に閉じ込められたと思ったら、横山の、ある向きへの強烈な方向感覚を強いてくる真っすぐな線の表現と、扇風機の風という物理的な力が作用して、私の体はまるでシューティングゲームの強制スクロールのように流れるままに、出口へと押し出された。とりあえず、作品に触っている暇はなかったけど……。

2014/08/14(木)(松永大地)

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ランドマーク・プロジェクトV──楢橋朝子

会期:2014/08/01~2014/11/03

関内周辺[神奈川県]

桜木町・ぴおシティの地下通路に展示しているのは写真家の楢橋朝子。ふだんはポスターなどを貼ってる壁に、近くを流れる大岡川の水面すれすれから撮った関内外の風景写真を滑り込ませている。これもよく見なければなにかの広告写真かと思って通りすぎちゃいそうだけど、よく見ると風景はすべて仰瞰だし、どれも画面が斜めってるし、下のほうに水面が迫ってるし、明らかに異質だ。この地下通路はおそらく海抜0メートルかそれ以下なので、津波が来たり大岡川が氾濫してこの地下通路に水が流れ込んだら、きっと水面がこの高さに見えるに違いない。

2014/08/14(木)(村田真)

トランスフォーマー博

会期:2014/08/09~2014/08/17

パシフィコ横浜 展示ホール[神奈川県]

パシフィコ横浜のトランスフォーマー博へ。さすがに博覧会というだけのヴォリューム感がある。子供が好きな乗り物/怪獣/恐竜の変形を玩具化し、ロボットとしたベタな企画から始まっただけに、30年間の商品を並べると、すごい量になっている。またシカゴ戦闘の廃墟を丁寧に再現した巨大なジオラマや、トランスフォーマーの立像への3Dプロジェクションマッピングが興味深い。




会場風景

2014/08/15(金)(五十嵐太郎)

小山市制60周年 車屋美術館開館5周年記念 現代美術展「Mother / Land」

会期:2014/06/28~2014/09/07

車屋美術館[栃木県]

間々田駅から住宅地を歩いて約5分。蔵を改造した展示施設にて、国内外8組の作品を紹介する。全国の地方紙の写真を並べ、3年後の311報道を一覧したり、写真をつなぎあわせて被災地の道路や建物痕を表現する安田佐智種が、とくにテーマと響きあう。小川家住宅では、ゲッラ・デ・ラ・パスも展示している。あいちトリエンナーレ2013に参加した作家だが、岡崎エリア担当のキュレーター原田真千子が、「Mother/Land」を企画しているからだろう。なお、小川家の外観は完全に江戸時代の屋敷だが、内部の1、2階に予想がつかない洋風のインテリアがあり、驚くべきギャップがとても面白い。


展示風景 安田佐智種《みち(未知の道)》



展示風景 ゲッラ・デ・ラ・パス《Rocks》





上記2点 小川家住宅

2014/08/16(土)(五十嵐太郎)

もうひとつの美術館、「いえとまちのかたち」、スペシャルトーク「いえとまち、コミュニケートのかたち」

会期:2014/06/14~2014/08/31

もうひとつの美術館[栃木県]

栃木県那珂川町のもうひとつの美術館(2001年開館)へ。廃校になった木造の校舎を転用し、アール・ブリュットを専門に展示する、日本では最初期の施設である。校庭には盆踊り大会の櫓がまだ残り、今も地域の集まりの場所だということがうかがえる。「いえとまちのかたち」展は、建築的な絵画を中心とし、やはり家型のイメージが強い作品が少なくない。カラフルな色彩、まっすぐでない線、時代の流行に影響を受けないことから作家の世代がわからないことが特徴である。とくに50枚展示された掘田哲明の絵画が凄い。30年間、1000枚の絵を描き続け、一見どれも同じ家型の反復なのだが、よく見るとすべての家が違うのだ。

写真 展示風景 掘田哲明《家》

2014/08/16(土)(五十嵐太郎)

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