artscapeレビュー

2016年08月15日号のレビュー/プレビュー

ジブリの立体建造物展 関連プログラム 対談「藤森照信×杉戸洋」

会期:2016/07/31

豊田市美術館[愛知県]

藤森照信×杉戸洋/五十嵐によるジブリのトーク。意外な組み合わせだが、3名ともあいちトリエンナーレ2013組で、いわば同窓会である。杉戸さんは、実は東京でジブリ展を二度見ており、今回の展示でも意識したという。藤森さんとモノづくりのこだわりについて語った。ともに人の記憶に訴えながら、ジブリは絵を動かし、杉戸さんは空間を揺らし、animateするという共通点も感じられた。

2016/07/31(日)(五十嵐太郎)

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シン・ゴジラ

『シン・ゴジラ』は、1954年に初めてゴジラが登場した第1作の恐怖と崇高性を蘇らせた傑作である。津波破壊と原発事故後の想像力、安全保障をめぐる国内外の政治ドラマ、緩急の差が激しい動きと静止した立像、おそらく経済的な理由によるものだが、うんざりするほど続くスペクタクルではない限定的かつ効果的な見せ場などが印象的だった。特に自衛隊の攻撃には反応せず、アメリカ軍の攻撃で逆鱗に触れて、東京の高層ビルだけが集中的に破壊される深夜のシーンが美しい。これは家族や恋人の個人の物語に収束させない、現代日本の新しい怪獣映画である。

2016/07/31(日)(五十嵐太郎)

カタログ&ブックス|2016年08月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

TOKYOインテリアツアー

著者:浅子佳英、安藤僚子
発行:LIXIL出版
発行日:2016年6月25日
定価:2,000円(税別)
サイズ:A5判、176ページ

東京のインテリアデザインと都市との関係をあきらかにする考現学的ガイドブック。 銀座、丸の内、原宿、中目黒など9つのエリアを対象に97のインテリアをイラストとテキストで紹介します。 本書に掲載されたショップやカフェ、ギャラリースペースなど、誰もが体感できるインテリアを眺めてみると、めまぐるしく変わるインテリアの集積として立ち上がる東京の姿が浮かび上がってくるでしょう。 これまで詳細なリサーチのなかったインテリアデザインを鑑賞・分析の対象として見せ、都市遊歩の魅力を刷新する1冊です。

出版者サイトより]


トーキョーワンダーサイト アニュアル 2015

監修:今村有策(トーキョーワンダーサイト館長)
発行:公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト
発行日:2016年7月14日
定価:非売品
サイズ:A5判、160ページ

東京を拠点に、公募展、レジデンス事業、若手クリエーターの発掘事業などを手がけるトーキョーワンダーサイト。本書はその2015年度の活動記録集として出版された。1年間に行なわれた全事業の詳細や参加アーティストのプロフィール、公募展の審査員レビューのほか、ディン・Q・リーら6名のアーティストへのインタビューを収録。



インドネシア ファッション─海のシルクロードで花開いた民族服飾の世界─

監修:戸津正勝
発行:一般社団法人NHKサービスセンター
発行日:2016年7月
定価:非売品
サイズ:200×220mm、70ページ

2016年7月から翌月にかけて、日本・インドネシア共和国国交樹立60周年を記念し町田市立博物館で開催された「インドネシア ファッション─海のシルクロードで花開いた民族服飾の世界─」展の公式図録。インドネシア地域の研究者である戸津正勝氏が監修を行ない、氏が40年にわたって蒐集した服飾資料が展示された。本書には、出展された資料図版のほか、戸津氏による論考・解説が収録されている。


森村泰昌:自画像の美術史─「私」と「わたし」が出会うとき

編集:植松由佳、隈千夏
発行:国立国際美術館
発行日:2016年4月5日
定価:2,000円(税別)
サイズ:B4判変形、224ページ

2016年4月から6月にかけて、大阪・国立国際美術館で開催された「森村泰昌:自画像の美術史─「私」と「わたし」が出会うとき」展の公式図録。国際的に活躍する森村の地元である大阪の美術館では、初の大規模個展となった。森村の代表作である、自身が歴史上の有名人に扮するセルフ・ポートレイト作品、約100点にも及ぶカラー図版のほか、森村とドミニク・ゴンザレス=フォルステルと往復書簡を収録。


あゝ新宿─スペクタクルとしての都市

監修:岡室美奈子
発行:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
発行日:2016年6月20日
定価:2,000円(税別)
サイズ:B5判、160ページ

1960年代、新宿は明らかに若者文化の中心だった。紀伊國屋書店、アートシアター新宿文化、蝎座、新宿ピットイン、DIG、風月堂、花園神社、西口広場……。そこには土方巽、三島由紀夫、大島渚、唐十郎、寺山修司、横尾忠則、山下洋輔らさまざまな芸術文化の担い手たちや若者たちが集結し、猥雑でカオス的なエネルギーが渦を巻いていた。新宿という街自体がハプニングを呼び込む一つの劇場、一つのスペクタクル、あるいは一つの祝祭広場を志向していたのだ。では、現在の新宿はどうか。かつてのようなエネルギーに満ち溢れた新宿独自の文化は失われてしまったのだろうか。
写真やポスター、チラシなどの資料と当事者の証言で新宿の文化史を辿り直し、複数の論考によって新宿という街を検証する。そして磯崎新による幻の新都庁案で提示されていた祝祭広場の思想を手がかりに、祝祭都市新宿の未来像を構想したい。

出版者サイトより]


30年30話 クリエイター30組の対話によるデザインの過去・現在・未来

編集:戸塚泰雄、森田真規
発行:株式会社誠文堂新光社
発行日:2016年9月1日
定価:2,000円(税別)
サイズ:B5判、248ページ

日本で初めてのグラフィック・デザイン専門ギャラリーとして設立された「クリエイションギャラリーG8」。その創立30周年を記念して、2016年2月から翌月にかけて開催された「30年30話」展の公式図録。服部一成+菊地敦己、田中良治+千房けん輔(exonemo)など、ギャラリーと関係の深い30組のクリエイターたちクリエイターたちによるトークイベントが会期中に行なわれ、本書はその30組すべての模様が掲載。


2016/08/14(artscape編集部)

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