artscapeレビュー

2009年05月15日号のレビュー/プレビュー

ルーヴル美術館

[パリ]

今日はルーヴルの夜間開館日。こうしてオルセーと日をずらして夜間(22時ごろまでだが)に開けてくれるのは、短期の旅行者にとってもありがたい。こういうささやかな配慮に文化都市のふところの深さを感じてしまう。
ルーヴル美術館:http://www.louvre.fr/

2009/04/10(金)(村田真)

ラグジュアリー[ファッションの欲望]

会期:2009/04/11~2009/05/24

京都国立近代美術館[京都府]

「モードのジャポニズム」「身体の夢」「COLORS ファッションと色彩」と、これまでにも開催されてきたシリーズに続くファッション展。今回は「ラグジュアリー」という視座で、“贅沢”や“豊かさ”の価値観の変遷をファッション史から再考し、ファッションと社会、時代との関係性を探る。会場では17世紀のドレスから現代までの作品を展示していた。最後の見どころはコム・デ・ギャルソンとマルタン・マルジェラの服だが、展示がここで終わりなのがちょっと残念だ。いろんな意味でお洒落だと思うし、これらが新しい「ラグジュアリー」の価値観や美意識を示したファッションであることは解るが、ただ現在に至っても新鮮な感覚かというと、ちょっと微妙な気がするし、個人的には今後の「ラグジュアリー」観の新たな方向がうかがえるような、もっと新鮮な驚きのある展示を期待していたからだ。けれど、すごい速度で変化する流行の性質を考えるとその最新の状況を展覧会で見せるのはやはり難しいか。

2009/04/10(金)(酒井千穂)

チチ松村×伊達伸明 よもやま話

会期:2009/04/10

法然院大書院[京都府]

取り壊される建築廃材の一部を用いてウクレレを制作する伊達伸明さんの新作展にあわせた特別イベント。制作についてだけでなくふたりの交流のエピソードなど、まさによもやま話が展開。これまでに制作されたウクレレを一本ずつ紹介しながらのライブ演奏もあり贅沢な時間だった。なかでも印象的だったのは、伊達さん自身が頻繁に通っているという建て替えられた食堂(のウクレレ)にまつわるエピソード。以前の店での常連客や店主との距離感、揚げ物の油の匂いなどがリアルに伝わってくるような温かい話なのだが、店先のサンプルの「エビ天」がのっかっているウクレレはどうも間抜けな印象で可笑しい。あまり大きく宣伝されなかったとのことで、窮屈にもならず、ほどよい来場者の数。夕暮れ時の京都の町並みが一望できる法然院大書院という会場もまた素晴らしかった。のんびり、ゆったりという言葉がぴったりの二人の雰囲気そのままの時間と空間だった。

2009/04/10(金)(酒井千穂)

モンマルトル墓地

[パリ]

早朝、宿から歩いて5分ほどのモンマルトル墓地へ。趣味の墓場めぐり、ではなくて、ここにギュスターヴ・モローの墓があると聞いたので訪れてみることに。敷地内の案内板に大まかな位置が記されているのだが、墓石に彫られた文字が磨耗して読みとれないものもあるので、なかなか見つからない。おっとニジンスキーの墓を発見。道化師みたいな彫刻が据えてあるのでよくめだつ。パリの墓地はいちおう区画ごとに分かれているけど、区画内は墓がびっしり立っているので、その上をまたいで探しまわらなければならず、あまりいい気分ではない。などと思っていたら目の前を黒猫が横切っていったよおおお。小1時間ほど墓場をさまよい、ずっしり肩が重くなったころ、ようやく発見。墓自体はなんの変哲もないが、ちゃんと「Gustave Moreau」と彫ってあった。花の1本でも買ってくりゃよかった、と後悔しつつ手を合わせ、そそくさと退散したのであった。

2009/04/10(金)(村田真)

クリニャンクール蚤の市

[パリ]

別に骨董趣味があるわけではないのだが、たまたま『芸術新潮』の特集「パリと骨董」を見たこともあって、興味本位で出かけてみた。駅から道沿いにアラブ・アフリカ系がディスカウント商品を売っていたが、これはどうでもいい便乗店。めざす骨董屋は地域の深奥部に軒を連ねていた。家具、食器、道具、額縁、古本……あるわあるわ。でも買いたくなるようなものはほとんどなかったなあ。100年くらい前の革装の古本を数冊買う。どうせ読めないので鑑賞用だ。

2009/04/11(土)(村田真)

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