artscapeレビュー

2010年11月15日号のレビュー/プレビュー

絵画思考──油画現職教員展

会期:2010/10/20~2010/10/31

藝大アートプラザ[東京都]

佐藤一郎、保科豊巳、O JUNら藝大のセンセーが小品を展示即売している。上限10万円程度と安めだが、国立大学の教官が構内で自分の作品を売っていいのか? あ、法人化されたから自分で稼がないといけないのか。でも奈良や村上がセンセーになったら小品でも100万円するぞ。まあそんな人気作家は藝大には行かないから心配無用だが。

2010/10/29(金)(村田真)

トランスフォーメーション・イン・大石膏室

会期:2010/10/29~2010/11/17

東京藝術大学絵画棟大石膏室[東京都]

都現美の「トランスフォーメーション」に連動した芸大生の展示。どうせ石膏室を使うんだから、自分の作品を運んできてただ展示するだけじゃなく、居並ぶ石膏レプリカ群にからんで自爆してほしいものだ。その意味で、サモトラケのニケの前に10分の1くらいの大きさの模造を置いた宮原嵩広の《小さな勝利》と、ロダンの《青銅時代》の台座の上で彫刻に扮してポーズする自分を撮った下西進の映像作品が特筆に値した。

2010/10/29(金)(村田真)

名和晃平「Synthesis」

会期:2010/09/24~2010/10/30

SCAI THE BATHHOUSE[東京都]

手前の部屋には壁に雨模様みたいな粒々をびっしり描いた紙が貼られている。一見プリントかと思ったが、近づいてみると、コーヒーを1滴ずつこぼした跡みたいな偶然のきれいな円になっている。どうやってつくったんだろう。奥の部屋には透明な球をまとった鹿の全身像と首から上の剥製が計3点。例のヤツか、と思ったら、なんか変。脚も角も異常に多い。2匹分をダブらせているのだ。もともと表面に球を貼りつけて輪郭を曖昧にした上ダブって見えるから、乱視になったのかと思った。逆にいえば、この作品は物体のほうを乱視化したものだといえる。

2010/10/29(金)(村田真)

第42回「日展」

会期:2010/10/29~2010/12/05

国立新美術館[東京都]

毎年恒例の日展見物も10回を超えた。展示作品は10年、いや100年一日のごとしなので、見た感想は5年前も10年前も変わらない。だから見ないで書いたとしてもハズレはない。裏返せば、もはや見る必要もないということだ。そのことを確認するために今年も足を運ぶなう。

2010/10/30(土)(村田真)

東京ミッドタウンアワード2010

会期:2010/10/28~2010/11/03

東京ミッドタウン・プラザB1Fメトロアベニュー展示スペース[東京都]

アートとデザインのコンペ受賞作品を、ミッドタウンと六本木駅をつなぐ通路とショーウィンドーで展示。アート部門の受賞作品は4点で、グランプリはきのしたがくの《春夏秋冬東京動画絵巻》。東京の四季を縦長の4画面に映し出した浮世絵風アニメで、よくできているし楽しいけど、どこがアートなんだって気がしないでもない。それは準グランプリ作品にもいえることで、妙な脚をした羊の群れと「あ」の字のなる木を組み合わせたインスタレーションなのだが、なにがおもしろいのか理解できなかった。佳作は2点で、1点は空(と雲)を延々と映し出す石山和広の映像、もう1点は、どういう原理かわからないが虹を現出させる井口雄介の装置。どちらも自然現象を再現したもので、なんとなく似ている。作者はふたりとも武蔵野美大の建築科出身で、審査員のひとりの教え子であることも共通しているが、それはさておき、ぼくはショーウィンドーの垂直面に大空を映し出した石山の映像にグランプリをあげたい。デザイン部門のほうは、お花見のときに桜の木を囲むように敷けるドーナツ型のシートとか、お皿の模様が描かれたティッシュペーパーとか、四葉のクローバーだけを見つけ出すアプリとか、おもしろくて役に立つ(?)アイデア作品がいっぱい。でもぼくはなんの役にも立たない空の映像のほうが好きだ。しつこいね。

2010/10/30(土)(村田真)

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