2017年10月15日号
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artscapeレビュー

黄金町バザール2015

2015年11月15日号

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会期:2015/10/01~2015/11/03

黄金町界隈[神奈川県]

公式参加のアーティストは日本を含めてアジア7カ国から14組。それぞれ黄金町に滞在して制作した新作を発表したが、はっきりいって今年は不作だ。というか、毎年豊作とはいいがたいけれど、それでも1点か2点は心に響く作品があって、それだけでも満足感があったのに、今年はそれがない。言い換えればみんな平均点なのだ。なぜか? 今年のテーマは「まちとともにあるアート」というミもフタもないベタなもの。その線でアーティストが選ばれ、選ばれたアーティストもその線で発想して制作するため、なんだか似たり寄ったりのヌルい作品ばかりになったんじゃないか。要するに「まち」という日常を突き抜けるダイナミズムに欠けていた。まちにとってはいいかもしれないが、アートとしてはおもしろくない。まあよくあることだ。そんななかで唯一逆のベクトルを見せていたのがメリノのテンペラ画だ。この油彩画より古い技法で、現実のまちとはなんら関わりのない浮世離れした幻想世界を築き上げた作品群は、黄金町バザールのなかでは明らかに浮いている。流行や同調圧力に屈しないこの揺るぎない孤高の姿勢こそアーティストの鑑、といっておこう。この14組の展示以外では、建築系による「まちプロジェクト」に注目。道路に面した1階フロア全体を巨大なバスタブにしてしまった一級建築士事務所中村建築や、幅1間、3階建てという極端なプロポーションのちょんの間を吹き抜けにして、垂直に細長いスタジオを実現した(どうやって使うんだ?)アイボリィアーキテクチュアのプロジェクトがおもしろい。

2015/10/01(木)(村田真)

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