artscapeレビュー
公募団体ベストセレクション 美術 2012
2012年06月15日号
会期:2012/05/04~2012/05/27
東京都美術館[東京都]
都美館の「リニューアルオープンを機に、『公募展発祥の地』としての歴史の継承と発展を図るため」企画された公募団体展の選抜展。これのいささか奇妙な点は、団体展の団体展であること、そして都美館が主催者であることだ。団体展は都美館にとって最大のお得意さまだが、かつてのような影響力を失ったここ20~30年はたんなる金ヅルというか、もっといってしまえば必要悪になってしまったと思っていた。なのに今回どういうわけか都美館が「指導力」を発揮し、井のなかで派閥闘争を繰り広げてきた美術団体をまとめるパトロン的立場に立ったことに、ある種の違和感を覚えたのだ。都美館が原点に立ち返ったともいえるが、これを時代に逆行した現象と感じるのはぼくだけだろうか。いや、ひょっとしたら時代に逆行しているのは自分だけかもしれない、とも思ってしまった。でも展覧会を一巡してみて、つい足を止めて見入ってしまうような作品にはお目にかからず、少し安心したのも事実。安心させないでくれよおお。
2012/05/03(木)(村田真)