artscapeレビュー

ハンマーヘッドスタジオ新・港区

2012年06月15日号

ハンマーヘッドスタジオ新・港区[神奈川県]

2008年に横浜トリエンナーレの会場として建てられた新港ピアが、にもかかわらず昨年のトリエンナーレでは使われず、代わりにBankARTが「新・港村」として活用したことは記憶に新しい。そんな経緯もあり、そのときの内装をそのまま残して(一部改装)、次のトリエンナーレの開催年(2014)まで格安の共同スタジオとして再出発することになった。アーティストでは牛島達治、開発好明、川瀬浩介、さとうりさ、タカノ綾、松本秋則ら、団体では青山目黒、メビウスの卵、スタジオニブロール、深沢アート研究所、中村恩恵/ダンスサンガ、ヨコハマ経済新聞など計50組ほどが入居。骨組みだけの木造家屋の一画に陣取った松本秋則のスタジオは竹製のサウンドオブジェにぴったりだし、壁が複雑に入り組んだスタジオを借りた「メビウスの卵」はまさにメビウスの迷路のような空間。でも一般住宅を縮小したかのように小さな部屋に分かれたタカノ綾のスタジオは、いったいどうやって使うんだろう? まあとにかくにぎやかで楽しそうだが、ぜひここが日本のヌルいアートシーンをぶち壊す「ハンマーヘッド」になってほしいと願うばかりだ。

2012/05/18(金)(村田真)

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