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Ori・rhysm II──国際現代タペストリー展

2012年06月15日号

会期:2012/05/16~2012/06/10

京都芸術センター[京都府]

つづれ織の技法を用いたタペストリーの国際展。スペイン、カナダ、フィンランド、オーストラリア、イギリス、ポーランド、リトアニア、日本の8名の作家の作品が展示されていた。どれも高度な技術がうかがえて、凝視してしまうものばかりだったが、特に、路上に座り込んで会話をしている老女たちをモチーフにした、スペインのミルデ・アンドレアの多彩な色糸の表現と織りの細やかさが印象に残った。ほかには、人物の動作の描写もユニークで物語性のあるフィンランドのカヤニエミ・アイノの《Circus》というシリーズ、藤野靖子の風景をモチーフにした大型の作品の色彩も素敵だった。糸を一本ずつ織り込んで模様を織り出していくその手間を想像すると本当に気が遠くなりそうだが、時間をかけて生み出される作品の貫禄と美しさを目の当たりにして揺さぶられるような感動を覚えた展覧会だった。

2012/05/23(水)(酒井千穂)

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