artscapeレビュー
宗廣コレクション:芹沢 介 展
2012年06月15日号
会期:2012/04/07~2012/06/03
京都文化博物館[京都府]
柳宗悦や浜田庄司、河井寛次郎らとともに民芸運動を主導した作家で、型絵染の人間国宝として知られる芹沢 介(1895~1984)。この展覧会は、郡上紬の作家である宗廣陽助(むねひろ・ようすけ)氏が所蔵する芹沢作品を紹介するもので、代表作の屏風や暖簾、反物、染め絵をはじめ、ガラス絵、素描など150点が展示された。文字自体を文様化した《風の字文のれん》や《丸紋伊呂波屏風》、文字の周囲に草花や鳥を配した飾り文字作品《春夏秋冬》など、色彩と遊び心に溢れた型絵染作品の楽しさもさることながら、会場にはこれまであまり目にする機会のなかったガラス絵や板絵、肉筆絵、下図なども数多く展示されており、作家の人となりや日頃の視点が伝わってくるような内容だったのが嬉しい。また、芹沢がよく好んで描いていたモチーフや、色違いの作品なども紹介されていた今展。一人のコレクターの、作家と作品への慈しみがいたるところに感じられる素敵なものだった。
2012/05/24(木)(酒井千穂)
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