artscapeレビュー
ラ・トリエンナーレ(La Triennale: Intense proximité)
2012年06月15日号
会期:2012/04/20~2012/08/26
パレ・ド・トーキョー[フランス パリ]
あいちトリエンナーレ2013の業務として、約2週間、キュレータ・チームとともに、ヨーロッパ各地の作家を訪問したり、国際展をめぐることになった。パリでは、パレ・ド・トーキョーのパリ・トリエンナーレ2012を見る。さらに改造し、面積が3倍くらいに増えたために、新作は少ないものの、膨大な作品数だった。もともとラカトン&ヴァッサルがデザインしたパリで一番好きなアート・スペースだったが、驚くべきことに、もっとカッコよくなっている。下にまだこれほどの場所が隠されていたとは。当初、モダニズムへの反動としてつくられたデザインだが、無駄に空間が大きいことや天井の高さなどは結果的に現代美術が要求するスペックにとても合う。パレ・ド・トーキョーは、かつての重厚な壁をとり払い、近代的な構造の軽やかさがむきだしになった。しかし、未完成的、あるいは廃墟的なリノベーションの空間は、日本ではなかなかできないだろう。
2012/05/28(月)(五十嵐太郎)