artscapeレビュー

SWOON「Honeycomb」

2012年06月15日号

会期:2012/04/27~2012/05/20

XYZ collective(SNOW Contemporary)[東京都]

ニューヨークのストリートアーティスト、SWOON(スウーン)の日本初個展。紙にプリントした人物像を切り抜いて街の壁に貼っていく作品で知られる彼女が、ギャラリーでどんな作品を見せてくれるのか楽しみだった。小さな扉を開けると、室内は暗い。照明を落とし、床に何本かのロウソクを灯している。壁3面にはやはり人物像などをプリントした紙を貼り、正面の壁はハニカム(蜂の巣)の構造体を積み上げて、まるで祭壇のような雰囲気。人物像はどこかアジアの神々を思わせ、ロウソクの火ともども呪術的な空気を醸し出している。タイトルにもなっているハニカムは、アメリカでミツバチが大量発生した「事件」に基づいているそうだ。側面の壁にはハイチ地震で被災した子どもたちとコラボした作品も混じっていて、社会問題に対する意識の高さがうかがえる。ストリートアートから想像したものとはちょっと違う意外なインスタレーションだったが、インスタレーションとしてはそれほど意外性はなく、むしろ優等生的といってもいいくらい。そのギャップが意外だったのだ。彼女にとってストリートアートはアーティストになるためのたんなるステップではなく、実践的なエクササイズの場なのかもしれない。

2012/05/16(水)(村田真)

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