artscapeレビュー
「クラウド・シティ」トマス・サラセーノ展/A Night Is A Dream Come True: Anime Expressionist Painting 展/鈴木伸吾「浮島」写真展 ほか
2012年06月15日号
[東京都]
銀座と六本木エリアにて、ギャラリー、美術館をめぐり、14の展覧会を見る。メゾン・エルメスのトマス・サラセーノによる、浮遊感覚あふれるクラウド・シティ展では、建築の内部に、インテリアをもつふわふわとした皮膜建築が出現した。あまり目に見えない線に引っかかって壊す人も、今後絶対に出るに違いない。村上隆がキュレーションした「悪夢のどりかむ」展は、いわゆるキャラが強い、アニメ的な絵画が全開だが、デジタル的な表現を駆使するというよりも、手でキャンバスに描くというアナログ的な感覚への回帰を強く打ち出している。また六本木のzen photo Galleryにおける鈴木伸吾の「浮島」展では、トーマス・デマンド風の模型制作→撮影だが、不穏な場所ではなく、日常的な風景のゆらぎを感じさせるものだった。それにしても、ピラミデの建物は、オープンスペースの中庭が気持ちよく、記号的なポストモダンに回収されず、割とよい歳のとり方をしている。
2012/05/26(土)(五十嵐太郎)