artscapeレビュー
ZOKEI賞選抜作品展
2012年06月15日号
会期:2012/05/14~2012/06/02
東京造形大学付属美術館[東京都]
造形大では毎年「ZOKEI展」を開き、優秀作品に「ZOKEI賞」を与えているが、今回は受賞作品のなかから選抜した絵画、彫刻、デザイン、映像など19人の作品を展示。絵画だけに絞ると、さまざまな「うなじ」をクローズアップして描いた上田裕子のリトグラフがよかった。画面のほぼ上半分を黒(髪の色)が占め、下3分の1ほどが肌色におおわれ、よく見るとウブ毛や陰影も描かれているけれど、遠目にはモノクロームの色面抽象に見えなくもない。ペインティングではありそうな図像だが、大判の版画ならではのフラットな感じがよく出ている。一方、安達裕美佳の作品は「五美大展」で見たときは冴えなかったが、ここでは湯浅加奈子の絵画ともども色彩が映えている。こうした鮮やかな色づかいはこの世代特有のものなのか、それとも個性に由来する天然ものなのか……。
2012/05/21(月)(村田真)