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芳賀沼整、滑田崇志、滑田光、難波和彦(監修)《針生の箱》/手島浩之、武田幸司《サンカク、ヌケ、サンカク》(第7回 JIA東北住宅大賞2013)

2014年04月15日号

[福島県、宮城県]

審査の三日目は、郡山から約2時間半をかけて、難波和彦の監修、芳賀沼整、滑田崇志、滑田光による《針生の箱》を見学する。山奥の雪に耐える自邸であり、まさに建築家の実験住宅だ。地産材を活用した縦ログ構法による木造プレハブで大きな空間をつくる。道路側は閉鎖的だが、4つの正方形を崩しながらつなぎ、庭側は気持ちのよい吹抜けと大きな開口を生む。今年はこれが東北住宅大賞に選ばれた。
仙台に移動し、手島浩之/武田幸司による《サンカク、ヌケ、サンカク》へ。郊外の新興住宅地において、斜めの切断線を敷地に挿入するシンプルな操作だ。が、これにより近接する両側の家に対して、2つの三角ヴォリュームでブロックしつつ、持ち上げた斜めのテラスが中庭として機能し、遠くの眺望を得る。巧みな配置と断面の微妙な操作は、さすが手島の持ち味だ。

写真:上=芳賀沼整、滑田崇志、滑田光、難波和彦(監修)《針生の箱》、下=手島浩之、武田幸司《サンカク、ヌケ、サンカク》

2014/03/03(月)(五十嵐太郎)

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