artscapeレビュー
トウキョウ建築コレクション2014 全国修士論文展 公開審査
2014年04月15日号
代官山ヒルサイドテラス、ヒルサイドプラザ[東京都]
トウキョウ建築コレクションの全国修士論文展では、パネルと実物、一部模型も展示されている。代官山のヒルサイドプラザの公開審査会に参加した。10名が発表し、質疑、そして全体の討議を行なう。予備審査では、学会や大学とは違う場なので、決まった枠組で精緻に調べたというよりも、論文を読んだ後、少し世界の見え方が変わるようなものを選ぶ。公開討論会を経ても、鬼頭貴大の『中世重層建築論』が突出しているという印象は変わらなかったため、五十嵐賞とした。日本建築史に垂直軸の意味論を導入しながら、古代の継承、大胆な仮説、二間論、具体的な設計論なども展開し、文章がちゃんとしており、読み物としても面白い。なにより自分の頭を使った論文である。
2014/03/07(金)(五十嵐太郎)