artscapeレビュー

中村一美 展

2014年04月15日号

会期:2014/03/19~2014/05/19

国立新美術館 企画展示室1E[東京都]

内覧会に遅れて行ったため終了まで小1時間しかなかったが、それでも十分見られると思ったのが大間違い。1点1点じっくり見ていったら時間切れ、クライマックスともいうべき「ウォール・ペインティング」を含む3部屋ほど残して追い出されてしまった(急ぎ足で見たが)。これは体調を整えてもういちど見に行かなければいけない。それほど「見甲斐」のある展覧会だった。それは初期のY型から斜め格子、曲線の出現、蛍光色の使用、デコレーションのような絵具のテンコ盛りと徐々に展開する作品内容もさることながら、なにより作品の大きさと数によるところが大きい。質より量をホメるというのもなんだが、だだっ広いこの美術館の展示室を埋め尽くして余りある作品の物量にまず圧倒される。驚くのは、初期のころから100号、200号の大作を量産していること。セコい話だが、木枠とキャンバスだけで何万円もするし、厚塗りだから絵具の量もハンパじゃない。それを年に何十点も量産しているのだ。まるで30年も前から国立美術館で個展を開くことを想定して制作してきたかのような姿勢。もうそれだけで愕然としてしまう。これは尋常ならざる自信と覚悟がなければできないこと。とりあえず量だけで満腹、いや感服しました。

2014/03/18(火)(村田真)

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