artscapeレビュー
相国寺承天閣美術館 開館30周年記念「円山応挙展(後期)」
2014年04月15日号
会期:2013/12/21~2014/03/23
相国寺承天閣美術館[京都府]
相国寺承天閣美術館で開催されていた開館30周年記念「円山応挙展」の後期展。うっかり見逃すところだったのだが、同じ日、先に訪ねた重森三玲庭園美術館で館長の重森三明さんに薦められ、急いで足を運んだ。応挙と息子の応瑞、その弟子たちが描いた《相国寺開山堂襖絵》二十面は、美術館の展示では本邦初というもので、今展の大きな見どころとなっていたのだが、個人的にはそれよりも応挙の大量のスケッチに目を奪われた。鳥、昆虫、魚、植物などじつにさまざまなものが描かれた写生帖はまるで図鑑のよう。その量もさることながら、極めて精緻な描写、活き活きとした動きを感じさせる筆づかいが圧倒的。応挙の観察力と研究熱心な姿勢が如実にうかがえて心打たれるような気持ちにもなった。また、今展には応挙の弟子であった長沢芦雪の作品もいくつか展示されていた。ユーモラスでかわいらしい犬の表情が印象的な《狗子朝顔雀図》はじめ、応挙と芦雪のキャラクターの違いがうかがえる作品も見られ興味深い展覧会であった。
2014/03/14(金)(酒井千穂)