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アメリカン・ホラー・ストーリー/アメリカン・ホラー・ストーリー アサイラム

2014年04月15日号

テレビドラマのシリーズ「アメリカン・ホラー・ストーリー」を見終える。興味深いのは、古い住宅で家族と混じり、ここで亡くなった死者たちが生者のように堂々と歩き回ること。複数の時間と人間が同じ空間に共存する、意外にありそうでなかった設定だ。以前、「非家族と暮らす住宅」というコンペの課題を設定したことがあるが、まさにそれを実現している。映画の『アザーズ』がこれに近かったけれども、生者と死者は交わらない。なにより、「アメリカン・ホラー・ストーリー」は哀しみだけでなく、ときに笑いさえ感じられる。この勢いで同じスタッフによる「アサイラム」のシリーズも見始めた。なるほど、イカレタ人間のオンパレードはすごいが、1作目の「アメリカン・ホラー・ストーリー」における家に縛られた魂の現代的な表現の方がすぐれている。

2014/03/06(木)(五十嵐太郎)

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