artscapeレビュー
東北大学五十嵐研究室ゼミ合宿2
2014年04月15日号
会期:2014/03/10~2014/03/14
[中国・寧波市、杭州市、上海市]
寧波では、王 による《寧波博物館》と、隣接する公園に点在する5つのパヴィリオン、倉庫をリノベーションした寧波美術館のほか、馬清運による《寧波城市展覧館》と《天一広場》を見学した。王 は、スイスのピーター・ズントー、あるいはポルトガルのアルヴァロ・シザのように、地域に根づく建築家としてデザインを展開している。古材も活用するテクスチャーの感覚も素晴らしい。杭州は三度目の訪問だった。今回は、中国美術学院象山キャンパスの王 による一人万博状態と言うべき彼の建築群(ただし、隈研吾の美術館を建設中)、チッパーフィールドによる《良渚博物館》と《九樹村》、磯崎新の《中国湿地博物館》、六和塔、西湖をめぐる。王 の建築は、蘇州の庭園デザインを現代的に解釈し、立体化したかのようだ。むろん、かつてI. M. ペイもこれの引用を試みたが、ポストモダン的で記号的な操作感が強く、王の方がより手触りのある空間的な体験として展開している。中央の北京とは違う、江南の文化を意識した文人的な建築家の態度を感じられ興味深い。最後は上海に戻り、張永和が手がけたインテリアのあるレストランで食事をとる。
写真:上=寧波博物館(設計・王 )中=中国美術学院象山キャンパス(設計・王 )下=良渚博物館(設計・チッパーフィールド)
2014/03/10(月)~2014/03/14(金)(五十嵐太郎)