artscapeレビュー
アール・ブリュット☆アート☆日本
2014年04月15日号
会期:2014/03/01~2014/03/23
ボーダレス・アートミュージアムNO-MA+近江八幡市内[滋賀県]
滋賀県近江八幡の伝統的建造物保存地区にあるアール・ブリュット(アウトサイダー・アート)の専門館、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAが開館10周年を迎え、市内6カ所の会場に日本と台湾の500点を超すアール・ブリュット作品を展示している。あいにくの小雨だが、駅前で自転車を借りてまずはNO-MAへ。伝統的な和室に絵や陶芸が置かれているが、アール・ブリュット特有の濃密さや荒唐無稽ぶりに欠ける作品があるなあと思ったら、日比野克彦の作品だった。日比野ではかなわないか。ほかにヴェネツィア・ビエンナーレにも参加した澤田真一、台湾の林 萱の出品。以下、元呉服屋だったという奥村邸では、女性器や乳房をオブセッショナルに描いた 万里絵、糸を切って結んでつなげていく作業を繰り返す似里力ら、旧造り酒屋のまちや倶楽部では、紙を継ぎ足して約10メートルにもなった画面に建物や戦車や観覧車などを描き続けている古久保憲満、飛行中の飛行機の絵だけに執着する西澤彰ら、築100年の旧吉田邸では、カラーボールペンで広告チラシみたいなクセのあるイラストを描いてる中田勝信、さまざまなバリエーションのサトちゃん人形を集めた横山篤志ら、元材木商のカネ吉別邸では、雑誌やチラシを何百枚もコラージュしてるうちに立体になってしまったという金崎将司、何十年も前の記憶を元に歪んだ遠近法で子供時代の室内風景を描く秦野良夫ら、そして瓦の博物館かわらミュージアムでは6人の台湾の作品が展示されている。凡人の予想をはるかに超える作品もさることながら、100年を超える展示空間のアウラも身に染みて日常では得がたい体験だった。
2014/03/01(土)(村田真)