artscapeレビュー
アートアワードトーキョー丸の内
2014年06月15日号
会期:2014/04/26~2014/05/25
行幸地下ギャラリー[東京都]
今年の卒業・修了制作展から選んだ30人の作品を展示。みんなうまい。とりわけ筆触と装飾を同化させたような水野里奈をはじめ、福本健一郎、原田圭らの絵画に感心する。水野は三菱地所賞、福本は審査員今村有策賞、原田は審査員高橋明也賞を獲得した、というのもうなずける。ただ似たような作品が多いのも事実で、もっとアートを引きずり下ろしたり、審査員にケンカを売るような試みがあってもいい。たとえば、風呂場で抜け落ちた髪の毛を使って人物や風景を描き写真に撮った杉浦由梨の作品などは、見ようによっては落書き以前の行為をアートの名のもとに公衆の面前にさらす試みともいえ、おおいに示唆に富むものであった。この作品、写真ではなく、実物の髪の毛を壁かガラス面に貼りつけただけだったらもっとよかったのに。
2014/05/13(火)(村田真)