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われわれは〈リアル〉である 1920s-1950s──プロレタリア美術運動からルポルタージュ絵画運動まで:記録された民衆と労働

2014年06月15日号

会期:2014/05/17~2014/06/29

武蔵野市立吉祥寺美術館[東京都]

板橋区立美術館からバスで成増に出て、池袋-新宿経由で吉祥寺へ。こちらは板橋とは対照的に繁華街のビルの中にあるので便利だけど、それだけに窮屈なのがタマにキズ。展示は板橋と重なる部分もたくさんあったが、こちらは戦前の作品や戦争画も含まれ、また漫画や雑誌などの印刷物もかなり出品されてるので見応えがあった。もっとも全体的に暗いのは同じだが。印象に残ったのは、須山計一や小畠鼎子らの銃後の美術と、中村宏、池田龍雄、桂川寛らのルポルタージュ絵画。とくにルポルタージュ絵画はメッセージ性だけでなく絵画としても特異な位置を占めていると思うし、世界記憶遺産とまではいかなくても、もう少し高く評価されてしかるべきだし、もう少し広く知られてもいいと思った。一般に長いタイトルの展覧会はピントがボケたものが多く、ロクなもんじゃないが、これは例外だろう。板橋といい、先日見た府中市美術館といい、中小の公立美術館が地味ながらがんばってるなあ。

2014/05/17(土)(村田真)

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