artscapeレビュー

AAA30s「住まいが風景をつくる」展

2014年06月15日号

会期:2014/05/25~2014/06/01

GALERIE hu:[愛知県]

名古屋へ。車道のGALERIE hu: にて、AAA30s展の会場を見る。単に愛知県の同世代、すなわち30代の若手建築家9組を集めたのではなく、建築を現代美術の「ギャラリー」で展示することの意味を考え、しかもキャプションなしで見せるというのは、思い切った試みだ。建築は、どこで、どう見せるかについて意外と無頓着だからこそ評価したい。名古屋工業大学では、AAA30sのシンポジウムが開催された。9組による矢継ぎ早のプレゼンテーションの後、筆者がコメントを行い、最後は全体で討議を行なう。「住まいが風景をつくる」というタイトルは、50年代の計画学による最小限住宅、70年代の閉ざされた住宅などを歴史的に振り返っても、現在の若手の意識をよくとらえたものだった。ちなみに、愛知の家づくりでは、親と子の関係が重要らしいことも浮上した。公共施設でなくとも、個人住宅から共有される風景をつくることを議論し、海外経験のある建築家からは日本の特殊な住宅事情が語られ、マニフェストとしての自邸兼オフィスにも触れて、さらに建築家の仕事を獲得し、拡張していく活動などに触れる。最後は、現在は住宅から次のステップに進めないという隈研吾の論「パドックからカラオケへ」の問題提起を考えることになった。

2014/05/24(土)(五十嵐太郎)

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