artscapeレビュー

川内倫子+テリ・ワイフェンバック「Gift」

2014年06月15日号

会期:2014/04/27~2014/06/22

IMA gallery[東京都]

川内倫子は1972年生まれ。テリ・ワイフェンバックは1957年生まれ。キャリアも違うし、活動場所も東京とワシントン・D.C.と隔たっているが、たしかにこの二人の作品には共通性がある。身近な環境を題材にしながら、それを「永遠」とか「深遠」とかいう言葉がふさわしいような眺めに変換させていく。光や空気感の微妙な変化に鋭敏に対応し、その震えをそっと定着していく姿勢もどこか似ている。実際にこの二人の写真家には2011年頃から交友があり、メールのやり取りや写真の交換などを続けてきたのだという。それを二人展という形で実現したのが、今回の「Gift」展である。
六本木のIMA CONCEPT STORE内のギャラリーでの展示の内容は、決して期待を裏切るものではなかった。二人の間で交わされた「往復書簡」にならって、交互に作品を展示するというアイディアもとてもよかったと思う。ワイフェンバックのプリントにだけ白枠をつけてあって、すぐに判別できるように工夫されていた。ただ残念なことに、二人の作品世界が共振する相乗効果のようなものはあまり感じられなかった。どちらかといえば、「優しさ」や「ゆらぎ」が強調された小さいサイズのプリントが多く、彼女たちの普段の展示から伝わってくるダイナミズムが影を潜めていたのも理由の一つかもしれない。小ぎれいなギャラリー・スペースの雰囲気も、作品に集中しにくくさせていたこともあるだろう。二人の実力は折り紙付きなのだから、もっと大胆な遊びや冒険を見せてほしかったと思う。

2014/05/09(金)(飯沢耕太郎)

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