artscapeレビュー
新INCUBATION #6 堀尾貞治 冬木遼太郎「Making Sense of Nonsense」
2014年06月15日号
会期:2014/05/17~2014/06/29
京都芸術センター[京都府]
冬木作品における突拍子もない感じは、飛躍に次ぐ飛躍でこちらの感覚をぐんぐん刺激してくる。見る側が無数の物語を生産してしまって、情報の渦につつまれるような状態になる。これが足し算だとすると、堀尾作品は一見同じように足し算のようでもあるが、実はそもそも構造はひとつであり、足し算でも引き算でもない、プラスマイナスゼロ。今回も黒色でフレーミングするという作品一本勝負(展示する壁面の並びはダーツで決めたという)。小さなポストカードを囲み、壁一面を囲み、展覧会自体をも覆い、冬木作品の渦もまあまあ飲み込んでいる、と思いながら、南と北、距離的にも離れているそれぞれのギャラリーを何度か往復するうちに、なんだか作品と作品が会話しているようにも見えてきた。この二人展の組み合わせはすごくいい。
2014/06/01(日)(松永大地)