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レイルウェイ 運命の旅路

2014年06月15日号

『レイルウェイ 運命の旅路』は、いま日本で上映される価値のある作品だった(邦題がダサいので損をしているが)。戦時中に日本軍の捕虜となり、虐待されたイギリス兵の強制労働による鉄道建設は、『戦場にかける橋』でも有名だが、その半世紀後の史実を描く。負の記憶に向きあうこと、敵と罪への赦し、そしてダークツーリズムをめぐる本作のテーマは重厚である。ただし、拷問された英兵と、当時の日本人通訳が戦後に再会するこの映画を、原作の書籍と比較すると、物語や場面を脚色したシーンも少なくないようだ。映画なりのドラマを演出しているが、実話の映画向けではない部分も、別の意味での凄みがある。現実はもっと複雑で数奇なのだ。ところで、『戦場にかける橋』の原作者ピエール・ブールは、戦時中日本軍に捕まった経験をもち、『猿の惑星』も書いている。そうなると、人間を支配する猿とは、西洋人を虐げた日本人のことを意味していたのではないか。

2014/05/01(木)(五十嵐太郎)

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