artscapeレビュー
谷澤紗和子展「よすがのもり」
2014年06月15日号
会期:2014/04/07~2014/05/29
森林食堂[京都府]
巨大なインスタレーション作品を中心にこれまで多彩な表現手法による制作活動を行ってきた谷澤紗和子。2012年、大阪府立中之島図書館で開催された個展「ミンハメグリ」で谷澤がつくりあげた大型の切り絵によるインスタレーション空間は、壁面や床で心もとなく揺れる動物モチーフや模様の影の様子が美しく、印象に残っている。谷澤は東日本大震災直後に体験した感覚を機に「妄想/想像力の開放」を作品制作のテーマに取り入れるようになったという。今回個展を行っていたのは、カレーのケータリングチームとして関西の各アートイベントでも活躍している「森林食堂」の店舗。会場には、スペースを仕切るカーテンのように、和紙を素材にした大型の切り絵作品が展示され、小品も棚など店内の調度品に展示されていた。繁茂する植物や生き物のモチーフ、装飾的なパターンが連なる左右反転の切り絵作品は、表と裏、図と地、内側と外側のどれにもそれぞれ表情と趣きがあり、眺めていると物語の連想も掻き立てられていくから愉快。次回の発表も楽しみだ。
展示風景
展示風景 壁面
2014/05/29(木)(酒井千穂)